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日本三大盆踊り、郡上おどりに行ってみよう!

日本のほぼ真ん中にある岐阜県のさらに真ん中、名古屋と高山の中間くらいの位置にある「郡上八幡」といえば、毎年夏に開催される「郡上おどり」が有名です。「見るのではなく、参加するおどり」とも言われ、地元の人だけでなく観光客も気軽に参加することができます。今回の記事では「郡上おどり」をより楽しむための情報をお伝えします。

郡上おどりってどんなお祭り?

郡上おどりは、今から400年以上前から続く、伝統的な「盆踊り」です。「盆」とは、仏教における「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を略した言葉で、あの世から戻ってくるご先祖様を供養する日本に古くから伝わる宗教行事です。

郡上八幡城の公園にて踊る人々

年7月中旬〜9月初旬までの30夜以上開催される郡上おどりは、国内でも最も開催期間の長い盆踊であり、「日本三大盆踊り」とされています。

開催時間は、平日と日曜日が夜8〜10時30分頃まで、土曜日が夜8〜11時頃までが基本です。

おどりの会場となる場所は毎日変わり、開催期間中に郡上八幡の町を一巡します。おどりとともに風情ある城下町の古い町並みを楽しむことができるのも魅力です。

地元の人も観光客も一緒に輪になって踊ります

開催期間の中でも、最も賑わいを見せるのが「徹夜おどり」で8月13〜16日の4日間開催され、夜の8時〜翌朝5時頃までエンドレスで踊り続け、何重もの踊りの輪が広がります。おどりの会場となる周辺の飲食店やお土産店なども夜通し営業するので、お祭りの雰囲気を存分に味わえるでしょう。郡上おどりは、毎年日程が発表されるので「郡上八幡観光協会 」のWEBサイト等で確認してから予定を立てるとよいでしょう。

地元や周辺地域はもちろん、日本各地・世界各国かから多くの人たちが訪れる「郡上おどり」は2022年「風流踊」のひとつとして「ユネスコ無形文化遺産」に登録されました。これまでの伝統を引き継ぎながら、保存継承されるべき人類の無形文化遺産の一つとして、これからも地元の人たちをはじめ、多くの人々によって、守り継がれていくことでしょう。

郡上おどりの攻略

会場までのアクセス

郡上おどりの会場へのアクセスは、レンタカーと高速道路の利用がおすすめです。

名古屋駅から最寄りの高速道路入り口は、名古屋高速道路「明道町IC」で、名神高速道路「一宮JTC」を経由し、東海北陸道「郡上八幡IC」でおります。「郡上八幡IC」までの所要時間は1時間10分ほど。「郡上八幡IC」から会場付近の駐車場までは、およそ5分です。

多くの来場者が集まる「徹夜おどり」の間は、市内各所に臨時駐車場も用意されます。詳しい場所については、郡上市役所商工観光部観光課の「徹夜おどり交通案内図」を確認しましょう。駐車場周辺には誘導スタッフがいますので、案内にしたがって駐車します。駐車場からおどりの会場までは歩いて15分圏内です。会場から離れた場所にある「八幡中学校」駐車場は、おどり会場付近まで無料シャトルバスで移動できます。

心地よい川のせせらぎが町のあちこちから聞こえます

盆踊りスタート前

郡上おどりの始まる時間は日が暮れた夜8時頃からですが、せっかく郡上八幡を訪れるのなら、郡上おどりの前に、風情ある町街並みを楽しむのがおすすめです。「水の町」とも言われる郡上八幡の町には美しい川や、水のある風景に出会えます。名物の鮎や蕎麦を味わったり、お土産を物色したり、小さな町なので、半日ほどでも十分に楽しめるでしょう。

参加方法

郡上おどりは、見物するだけでなく参加して楽しむおどりです。事前に申し込む必要はなく、小さな子どもから年配の人まで、誰でも気軽に参加できます。おどりの振り付けがわからなくても、おどりの輪の中に入り、やぐらの上でおどる人や周りの人の動作を真似してみましょう。基本的に単純な動きの繰り返しなので、次第に踊れるようになります。輪の中は、出入り自由です。曲の変わり目が出入りしやすいタイミングです。

服装

おどりに参加する服装の決まりはありませんが、踊りやすさを考慮すると動きやすい服装がよいでしょう。盆踊りの雰囲気をもっと楽しみたい人は「浴衣+下駄」で参加するのもおすすめです。浴衣は会場近くの呉服屋などで男女ともレンタルが可能です。下駄は専門店で、郡上おどりに適した「踊り下駄」を購入するとよいでしょう。好みの色やデザインの鼻緒と下駄を選べば、その場で足に合わせてくれます。自分だけの一足は旅のお土産にもぴったりです。また、汗を拭う「てぬぐい」もあると便利なアイテム。さまざまな色・柄のものがあるので好みのものを探すのも楽しいでしょう。

振り付けがわからなくても、おどりの輪の中に入ってしまいましょう

注意点

誰でも気軽に楽しむことのできる郡上おどりですが、注意点もあります。 まず、踊りながらの飲食はやめましょう。おどり会場付近には飲食店などの屋台もありますが、食べながら飲みながら踊りに参加するのはNGです。水分の補給もおどりの輪から離れて行います。また、自己流の振り付けで踊るのはいけません。振り付けには一つひとつ意味があるため、好き勝手に体を動かすのではなく、周りの人と同じ振り付けで踊るようにします。

もう一つは、撮影についてです。お祭りの様子を写真や動画に収める際には、おどりの輪から離れたところで撮るようにします。撮影に夢中になるあまり、踊り手の妨げにならないように気をつけましょう。参加者それぞれがお互いの迷惑にならないように心がけることで、楽しい時間を共有できます。

2023 年の郡上おどりの様子

ユネスコ無形文化遺産に登録後、初めて開催された 2023 年の郡上おどり)

新型コロナの流行により、中止や規模縮小での開催を余儀なくされた郡上おどりでしたが、2023年は4年ぶりの通常日程での開催となりました。

ユネスコ無形文化遺産の登録を祝うちょうちん

再開を待ちわびていた多くの人たちが集まり、徹夜おどりの1日目である13日は、開始時間に大雨に見舞われるも、全国各地から集まった6万5000人もの人で賑わいました。待ちに待った再開を楽しみに、開催時間の前から多くの人たちが会場に集まりました。

心地よい踊り下駄の音を響かせながら踊ります

「初めてでも、周りの人をお手本に見様見真似で踊ってみると楽しいですよ」と話す 外国人観光客の方

「おどりのスタートが20時からなので、郡上八幡の町並みを散策したり、食品サンプル作りなどのローカル産業体験をしたり、観光を十分楽しんだ後で参加できるのも魅力ですね」と、手拭いを肩にかけ、浴衣・踊り下駄姿で話してくれる、外国人観光客の方も。

周りの人の動きを真似しながら体を動かすうちに踊れるようになります

水のせせさぎを聞きながら休憩する人々

踊り疲れたら、輪から離れて休憩します。耳を澄ますと、水の流れる音が聞こえてきます。周辺の飲食店やお土産店なども営業しているため、休憩がてら立ち寄るのもよいでしょう。

郡上おどり保存会会長 山田忠平さん

ぜひ気軽に参加してくださいと話す、山田さん

私たち「郡上おどり保存会」では、これから先の未来にも「郡上おどり」を受け継いでいくために、継承者の育成など、おどりにまつわるさまざまな技能や文化の保存継承のための活動を続けています。2022年には会の発足から100年を迎えました。

高齢化や地域との関わりが希薄になっているなどの課題もありますが、郡上おどりを楽しむ人の数は年々増えており、毎年訪れる愛好者も少なくありません。地方への出張公演も積極的に行っていますが、コロナ禍から4年ぶりに通常日程で開催した2023年は、カナダ・トロントとの同時ライブ配信も実施。時差が13時間もある中、700人もの人が参加してくださいました。

郡上おどりは、どなたでも気軽に参加して楽しむことができる踊りです。日本の風情ある城下町の一つである郡上八幡の美しい町並みを背景に、ぜひ踊りをお楽しみください。

おわりに

「郡上おどり」が開催される郡上八幡は、名古屋から車で1時間10分ほどでアクセスできます。こぢんまりとした小さな町なので、名古屋から日帰りで「町並み散策+郡上おどり」を楽しめます。

郡上からさらに北上すれば、高山や白川郷にも立ち寄れます。夏場なら雪の心配もありません。歴史情緒あふれる古い町並みと伝統のおどりを体験するために、郡上八幡を訪れてみてはいかがでしょうか。

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