| セントリップ・ジャパン編集部
【南信州豊丘村】E-BIKEで絶景サイクリングと本物の農泊体験をしよう!
日本のほぼ中央に位置する長野県の南信州エリアには、南アルプスと中央アルプスの両山脈の合間を流れる天竜川に沿って、「伊那谷」という細長い盆地が広がっています。
この盆地は、古くから農業が盛んな地域であり、とくに果物の名産地として有名ですが、いま、エコを意識したアグリツーリズムが注目されるなかで、作り物ではない本物の「農泊」や「田舎暮らし」が体験できるエリアとして、静かな注目を集めています。
この記事では、最高の田舎体験をテーマに、伊那谷にある豊丘村をE-BIKEで巡るモデルコースを紹介します。
南信州豊丘村のおすすめ観光コンテンツ
名古屋から南信州豊丘村へのアクセス
名古屋方面から豊丘村への移動は車が便利。
名古屋ICから東名高速道路で京都方面に向かったあと、小牧JCTを経由して中央自動車道に入り、飯田ICで降ります(約110km、1時間10分)。飯田ICから豊丘観光の拠点となる「とよおか旅時間」までは約13km、20分ほどで到着します。
E-BIKEで農村を巡る絶景サイクリング
豊丘村は川に向かって土地が階段状に形成される河岸段丘という独特な地形にあり、村内の標高差が大きい。観光拠点となるとよおか旅時間の標高が400m台なのに対し、最初の目的地となる福島てっぺん公園の標高は約800mとなっています(ちなみに、豊丘村の最高地点は鬼面山山頂の1,890m)。
そんな高低差の激しい村巡りには急な坂道も楽々登っていくことができるE-BIKEが最適。村の観光案内所の役割も担うとよおか旅時間では、最新のE-BIKEのレンタルを行っています。
移動手段としての便利さはもちろん、田舎の絶景を楽しみ、草や樹木の放つ香りを嗅ぎながらのサイクリングは気持ちいい。車だと何気なく見過ごしてしまいそうな風景に目を配りながら、非日常的な時間をゆっくりと過ごしてみましょう。
福島てっぺん公園、ほうきで空を飛ぶ!?
幼い頃にスタジオジブリの『魔女の宅急便』を観て以来、いつの日か自分もほうきで空を飛べると思っていたのは筆者だけではないはず。
E-BIKEで曲がりくねった急峻な坂道を登り切ると、そこには町全域を見通せる小さな展望台があり、心地よい、不思議な風が吹いている。親切なことにほうきまで置いてあるではないか・・・そう、ここなら飛べる!
そんな冗談はさておき、この「福島てっぺん公園」は、文字通り村の「てっぺん」にあり、南アルプスの山々と天竜川に沿って形成された谷間の集落全域が眼下に一望できます。
空を飛ぶおすすめポイントは展望台の右横のベンチのあたり。カメラを低く構え、思いっきり高く飛んだ一瞬を捉えれば、きっとあなたも空を飛べるはず。ほうきの魔女の現実が写ったマル秘映像はこちらをご覧ください。
農業体験:畑で旬の野菜を収穫しよう!
軽快に空を飛んだあとは坂を下り、野菜畑を目指そう。
豊丘村では様々な野菜が栽培されています。一部の畑では収穫体験をすることができ、ズッキーニ、ピーマン、アスパラガス、とうもろこしにトマトなど、色とりどりの野菜を採ることができます。
ふだん都市部で生活しているとスーパーに並ぶ野菜にしか縁がなく、「アスパラガスってこんな風に生えているのか」と、何気ないこと一つ一つに感動を覚えてしまう。
農業体験:丘の上ファーム原農園で旬の桃狩りをしよう!
畑での野菜収穫に続いては果樹園へ。豊丘村は野菜以上にフルーツの生産地として知られており、さくらんぼ、桃、梨、林檎、柿など、季節ごとに異なる果物が村のいたるところに実っています。サイクリング中も農道の両側からフルーツの甘い香りに誘われました。
観光客向けにフルーツ狩りを実施している農園も多くあります。この日は「丘の上ファーム原農園」を訪れました(※現在、丘の上ファーム原農園では原則として団体客のみ受け入れています)。
農園では、食べごろの桃の選び方や摘み取り方を丁寧に教えてもらいました。摘み取った桃はその日のうちに食べても十分に甘かったのですが、2〜3日おくと熟してより甘くなるとのこと。桃のシーズンは7月中旬から8月中下旬まで。これ以外の期間にも、季節によって様々なフルーツ狩りが楽しめます。
自分で収穫した野菜でバーベキュー
朝からE-BIKEで走り回ってお腹が空いたら、そろそろランチの時間にしよう。
この日のランチは屋外でのバーベキュー。素材は午前中に自分たちで収穫したばかりの野菜。自分で汗をかいて収穫した野菜を食べる。こんな素朴だけれど贅沢な体験がめちゃくちゃ楽しい!
村内には屋外でバーベキューができる場所が多数あります。この日のバーベキューは「とよテラス」というコミュニティースペースの軒先を借りて行いました。とよテラスは宿泊もでき、企業のワーケーションなどでも活用されています。
日本最大級のポットホールでシャワークライミング
充実した午前中に引き続き、午後もまだまだ楽しいイベントが盛りだくさん。まずは、虻川渓谷のポットホールを目指しましょう。
ポットホールとは、水の流れによって長い年月をかけてできた岩面上の穴のことで、豊丘村には日本最大級と言われる直径約7メートルの巨大ポットホールがあります。夏場はここが最高のウォーターアトラクションになります。
渓谷に着いたあとは、経験豊富なガイドの酒井さんの案内で、川を遡り、ポットホールを目指す。水辺に降りると、まず、流れる澄んだ水の美しさに圧倒されます。さらに、水の中に足を入れてみると、その冷たさにビックリ!
深い渓谷では、頭上を幾重にも覆う緑が直射日光を遮り、天然のクーラーとなっています。流れる水の音とひんやりとした空気がなんとも心地良い。
ポットホールまでは数百メートルほどの距離。この間、鎖をつたって岩場を歩いたり、肩まで水に浸かってロープを手繰り寄せたり、童心に帰って思う存分アドベンチャーを満喫しましょう。
進みづらいところはガイドさんがロープを渡し、丁寧にサポートしてくれるので、小さな子どもでも問題なく楽しめます。ポットホールの手前の滝では、水しぶきを浴びながら岩をよじ登るシャワークライミングにも挑戦できます。
登りきった達成感は最高。神秘的なポットホールの景観を間近で眺めてみましょう。時間が経つのを忘れて水の流れに見入ってしまう。ちなみに、勇気があれば、ここから滝壺に飛び込むこともできます。
滝壺付近は足がつかないくらいの深さがありますが、流れは緩やかなので、ライフジャケットを着用してロープをたどっていけば心配ありません。水の流れに身を任せ、ボーッと渓谷に浮かんでみるのも豊丘村ならではの時間の過ごし方。
ポットホールでの滞在時間は2時間〜半日程度が目安。夏場だけ楽しめる特別な遊び場所です。天候の状況等により、ポットホールまでの道が悪化している場合も考えられるので、とよおか旅時間に相談の上で、信頼できるガイドとともに訪れてください。
古民家を改装した「カフェ&ダイニング en」で桃のスイーツ
アクティビティ三昧の一日を過ごしたあとはとっておきのスイーツを食べに行こう。
豊丘村の中心エリアには、古い民家を改装した「カフェ&ダイニングen」があり、この村の魅力に取り憑かれて移住した黒田美佳さんがオーナーを務めています。豊丘村の地形をイメージしたオムライスや、季節のフルーツを使ったパフェなどが人気メニューです。
この日の取材では、桃を丸ごと使ったスイーツをいただきました。自家製のカヌレや紅茶アイスの上に豊丘産の桃が1.5個分、贅沢に盛り付けられています(※桃の丸ごとスイーツは限定メニューのため、事前予約が必要)。E-BIKEで一日走り回ったあとのスイーツはたまらない美味しさでした。
「農家民宿ひがし」で本物の農泊体験
豊丘村には大規模な宿泊施設がないため、宿泊者は小さなゲストハウスやキャンプ場を利用することになります。なかでもおすすめしたいのが「農家民宿ひがし」での滞在です。
「農家民宿ひがし」は、築100年を超える農家をほとんどそのまま活用した宿泊施設で、本格的な農泊体験ができます。宿泊客は1日1組限定で、現役の猟師でもあるオーナーの壬生さんが、「農業体験をしたい」「クワガタを捕りたい」など、希望の田舎体験をオーダーメイドで叶えてくれます。
夕食では、囲炉裏を取り囲んで、狩猟による鹿肉や地元の新鮮な川魚などを食べることができます。日本らしい農泊体験を満喫する上では、これ以上ない最高の拠点になります。
とよおか旅時間ととよおかマルシェ
豊丘村での旅のプランに迷ったら、村の観光案内所の役割も担う「とよおか旅時間」に気軽に相談してみよう。記事内で紹介したE-BIKEのレンタルのほか、様々な体験ツアーの紹介をしてくれます。
とよおか旅時間には足湯(無料)やシャワー(有料)も設置されており、サイクリング後の汗をさっぱり流すことができます。
また、とよおか旅時間の向かいには2019年に開業したばかりの道の駅、「とよおかマルシェ」があります。直売所である「四季彩市場」では、新鮮な野菜や果物が売られているほか、地域の食材を使ったレストランも併設されています。
おわりに
日本での本格的な農泊や田舎暮らし体験に興味をもったとしても、情報が少なく、どうやって旅先を選べば良いのか分からないことが多いのではないでしょうか。
豊丘村では、とよおか旅時間を中心に、様々なガイド付きの観光ツアーを計画しており、旅行者の要望に応じて柔軟に観光コースの提案をしてくれます。今回の取材では、盛りだくさんの観光コンテンツを駆け足で巡りましたが、二泊、三泊とゆっくり時間をかけて何もしない、贅沢な田舎滞在を楽しむのもいいでしょう。同じ南信州エリアにある飯田市 と併せて訪れるのもオススメです。